仮想通貨に関する確定申告まとめ

皆様!巷で話題の仮想通貨の取引をされていますでしょうか。

「前からやっててぼろ儲けだぜ!」という方も「流行りに乗って最近始めました!」って方もおられるかと思います。

いずれの方も共通するのがこの仮想通貨から生じた利益って確定申告どうするの?という疑問です。

というわけ本日は年の瀬ということもあり、2017/12/27現在の仮想通貨に関する確定申告のまとめについて記載しようと思います!

以前から関心があり、情報収集を随時行っている方々からすると新しい情報は少ないかと思いますが、私自身インターネットで調べていると情報が断片的になっている記事が多いという印象ですので税務当局の見解が出ている一連の情報を網羅的に書くということを意識してまいります。

なお、一部個人的見解が含まれていることや皆様の置かれている状況が異なるため、それによる不利益の責任は負いかねますので、その点予めご了承ください。

 

まずは基本的な仮想通貨により生じた利益の所得区分についてです。

2017/9/6に公表された国税局のタックスアンサーでは下記のように記載されています。

https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1524.htm


No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

[平成29年4月1日現在法令等]

 ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

 このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

(所法27、35、36)


タックスアンサーに記載されたということは公表前は各税務署に問い合わせが殺到したことが予想できます。

以前は税務署の見解の相違により、回答が異なっておりました。具体的には雑所得という回答と譲渡所得という回答です。実際に私自身3回異なる税務署に問い合わせをしたのですが、両方の回答を受けました。同業の友人とこの話をしたことがあるのですが、同じような話でしたので、私の問い合わせがたまたまということもなさそうです。

それはさておき、このタックスアンサーにより、国税局の見解が原則として雑所得として取り扱うことになりました。

しかし、上記の記載の中で「事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き」という文言があります。取引の性質から譲渡所得ではないのであれば、事業所得、雑所得以外の状況がパッと想定されなかったので、ここでは損益通算、3年間の欠損金の繰越、青色申告特別控除など様々な税務メリットがある事業所得になるケースについて検討してみます。

事業所得の定義について条文で記載がないのですが、過去の最高裁の判例から下記の点を勘案して「社会通念上、事業といえるかどうか」で判断されます。


①営利性・有償性
②継続性・反復性
③自己の危険と計算における事業遂行性
④その取引に費やした精神的・肉体的労力の程度
⑤人的・物的設備の有無
⑥その取引の目的
⑦その者の職歴・社会的地位・生活状況


それぞれの説明については、今回は割愛しますが、副業で取引を行っている方はよっぽどの理由がない限り全員が雑所得になるかと思いますので検討不要となります。

 

ただ、上記のタックスアンサーでは、具体的な所得計算についてはまったく言及されておらず、「複数回に分けて取得した場合の取得単価の計算はどうするの?」「分裂したときの取得価額の算定はどうするの?」というなど様々な疑問が生じます。

これを受けて、2017/12/1に国税庁個人課税課より「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」というFAQが公表されています。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/171127/01.pdf

こちらは具体的な計算事例も記載されており、よくまとまっているので当記事ではPDFをご参照の上、結論とその補足説明を記載していきます。

1 仮想通貨の売却

保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合、その売却価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額になるという記載で特に説明は不要かと思いますが、取得に要した支払手数料を取得価額に含めるという点にご留意ください。

2 仮想通貨での商品の購入

保有する仮想通貨を商品購入の際の決済に使用した場合、その使用時点での商品価額と仮想通貨の取得価額との差額が所得金額となります。

考え方は非常に単純で商品を買う時点で仮想通貨を売却し、その日本円で商品を買ったと考えます。以前インターネットで「一々物を買う度に所得を算定するために仮想通貨の価額を把握するのは煩雑だから少額は非課税でよくない?」という趣旨の税理士さんの記事を拝見してそれに共感した記憶があるのですが、残念ながらそうはいきませんでした。

今現在は日常の支払いで仮想通貨での支払いできるお店はごくごく一部ですので、対応可能だと思いますが、これから仮想通貨での支払いが当たり前になる時代が近い将来くることは明らかですのでこのあたりの税制の法整備が必要になると私は考えています。

3 仮想通貨と仮想通貨の交換

保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合、その使用時点での他の仮想通貨の時価(購入価額)と保有する仮想通貨の取得価額との差額が、所得金額となります。

考え方は2と全く同様で、他の仮想通貨を買う時点で保有する仮想通貨を売却し、その日本円で新たな仮想通貨を買ったと考えます。

4 仮想通貨の取得価額

仮想通貨の追加取得した際の取得価額の算定方法に関する記載があり、原則移動平均法で例外として継続適用を条件に総平均法が認められています。(それぞれの計算方法につきましてはPDFをご参照ください。)

ここで重要なのは選択した算定方法を「継続適用する」という点です。すなわち、取得した都度算定方法を選択した場合、その時点の納税者が有利な方法を取ることで租税回避行為(脱税)が可能になってしまいます。そういったことを無くすために、選択した方法を継続する必要があります。

5 仮想通貨の分裂

仮想通貨の分裂(分岐)に伴い、新たに誕生した仮想通貨を取得した場合、取得価額はゼロとなります。

理由としては、「所得税法上、経済的価値のあるものを取得した場合には、その取得時点における時価を基にして所得金額を計算します。 しかしながら、ご質問の仮想通貨の分裂(分岐)に伴い取得した新たな仮想通貨については、分裂(分岐)時点において取引相場が存しておらず、同時点においては価値を有していなかったと考えられます。 」と記載されています。

分裂しても通貨には初値がつくので、初値を経済的価値として取得価額とする、もしくは、初値で無償譲渡を受けたと考えて課税するのでは?と考えられるのですが、こちらについては、分裂時点においては納税者(皆様)が有利な取扱いとなっております。

6 仮想通貨に関する所得の所得区分

所得区分は原則として雑所得であることは記載済みですが、雑所得以外(事業所得)になる例示が記載されております。

例示は記載の通りですので、割愛しますが、その例示の一つに「その収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、その仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合」とあります。ここでは「客観的に明らか」という記載のみであり、上述の事業所得の要件から総合的に判断する必要があります。よって、所得区分について見解の相違で裁判になることも考えられるので、実務家としては将来の判例に注目することになります。

7 損失の取扱い

雑所得は損益通算ができる所得ではありませんので、雑所得以外の他の所得と通算することはできません。仮想通貨についても例外なく同様となります。

8 仮想通貨の証拠金取引

仮想通貨の証拠金取引による所得については、総合課税により申告となります。

9 仮想通貨のマイニング等

「マイニング」(採掘)などにより仮想通貨を取得した場合、その所得は、事業所得又は雑所得の対象となります。

マイニング自体は知っているのですが、私の周りでされている方を聞いたことがないので興味本位ではありますが、お話を聞いてみたいですね。

 

以上が簡単にではございますが、公表されている内容とご説明になります。

ちなみに私自身は以前ETHとXRPを保有していましたが、諸事情により短期で売却してしまったため、最近の高騰の恩恵を受けておりません。。。泣

もしかしたらご覧の方の中には「申告しなくてもバレないでしょ??」って思われている方もいるかもしれません。

しかし、国税局のプレスリリース「平成28事務年度における所得税及び消費税調査等の状況について」によると実地調査による申告漏れ所得金額は合計5,359億円、申告漏れ等の非違があった件数は40万件と報告されてます。

https://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2017/shotoku_shohi/index.htm

もちろんこの金額はすべての所得の申告漏れですので仮想通貨の所得の申告漏れはごくごく一部だと考えられます。

しかし、申告漏れが発覚すると法人税法や所得税法などにより、10年以下の懲役または1,000万円以下の罰金に処せられる可能性があります(法人税法159条1項・所得税法238条1項)。

また、加算税や延滞税なども支払う必要があり、結果としてお財布が非常に厳しいものとなってしまいます。

特に仮想通貨という分野はまだまだ未知の領域でこれから税務当局も本腰を入れて調査に乗り出す可能性が高いと考えられます。

というわけで本日の結論は不安な点は税理士に事前に相談して、適切に税金を納めましょう‼

個別具体的なご質問につきましては、問い合わせページもしくはメールでご相談ください。

長文をご覧頂きまして有難うございました。

 

井下佳郎

2017年12月27日